2012/06/10

データと格闘

昨日、今日と机に座りっぱなしでした。休憩のため、夕方の今、ビールを飲んだところです。

8月、北京で開かれる国際学会で発表するためのデータ作りです。課題は、ASEAN+3とTPPの比較。農産物を主とする主要品目の時系列貿易、投資のデータ整理と、そのグラフ化。図表だけで50を超え、実際の選別・利用の方法を思案。
使うソースは、UNCTAD,IMF,ILO,UNATATなどなど。そのために、パソコンは2台使っています。
1台は、データ収集、もう一台は集めたデータをエクセルですぐに整理するため。

うち1台のキーボードは、アルファベットの文字が消えかかっています。

いま、私は「日中経済関係変化の構造的変容」をテーマとして、農業・食料問題に視点を当て
て取り組んでいるところです。

自分への願いは、病気になるな、ということだけです。

蒼山県の大規模開発のその後

読者から、拙著で紹介した中国山東省の蒼山県ではじめられた大規模農業開発はその後どうなったか、という質問を受けました。
もしこのブログを読んで頂いたなら、まず、私の本も読んでくれたことに感謝申し上げます。
実は、まだその後の経過を調べていません。気になって仕方がないのですが、そのままフォローしていないのです。
山東省へはよく行くのですが、機会がありませんでした。
いつか、自分の目で確かめたいと思います。

2012/06/07

中国の高利貸し

今日の中日文化センターの講座は中国の二元金融の現状。政府公認の正規金融と非公認の非正規金融。正規金融の資金余剰額は日本円で350兆円。預金のうち貸付されずに金融機関の手元に残った、いわば余りである。資金需要を満たしてあまるのならまだしも、一方では、年利数10%の高利貸しが跋扈している。

しかも、江蘇省のある郷では住民の30%が高利貸しから借りている例からもうかがわれるうように、高利貸し金融は、正規金融の貸付額の半分に達するという見方もある。

共産党政権は高利貸しを禁止しているが、これは表向きのことで、経営者には政府役人も多数という声もある。昔から「9出13帰」というのが中国式高利貸しのやり方。10000元借りた場合、手取りは9000元、返済日には1万3000元返す仕組みのことだ。

資金過剰のなかの資金不足は矛盾であるが、これが是正される見込みはない。庶民や農民には担保価値のある資産がないからだ。正規金融機関は相手にもしない。
だから、高利貸しは生き続け、太り続ける。

”最後の1km” の経費

中国の農民が野菜を出荷する際の価格と消費者価格との間には3~4倍以上の開きがある。いま、消費者価格は1キロ、大体3~4元。農家が出荷する際に手にする価格が1元程度。
こんなに大きな開きがあるわけは、輸送距離(1,000キロは普通)、輸送運賃、消費市場経費、代理商、ブローカー、小売店のマージンなど流通業者の取り分がかさむからである。

なかでも、”最後の1km”の経費が中国で問題になっている。これは、消費地市場から末端消費者の手にわたるまでの距離のことだ。そのなかでも、最大のコストがかかるのが消費市場経費。入場料(1回数百元)、販売ブース賃貸料(年7,000元)、冷蔵庫代、人件費、水道光熱費などなど。消費者が支払う価格の60~70%は”最後の1km”のためだという。

こうした流通経費の節約は大きな課題である。

2012/06/02

農産物輸出協議会失敗の原因

農民同士の交流があるといいと思う。日中農業交流というと、団体間交流、にわか親善組織間交流、政治家間交流が一般的で、本当の、普通の農民レベルの交流は皆無といってよい。
現状は、それができない。農民同士は互いに関心がないし、中国の普通の農民は日本へ経済的理由や招聘上の問題から事実上渡航ができない。日本の普通の農民は、自力では会いたい農民にたどり着くことができない。
こうした制限が、庶民レベルの日中間の相互理解を隔てている壁の一つなのだ。
いま問題の中国へ農産物輸出をしようと各界が疑惑の中国人と一緒に作った団体の失敗も、相手の実情を無視して、欲の皮が突っ張った自称中国通の学者やジャーナリストの話に騙されて日本の農産物を売ることしか頭にない偏狂な組織の思惑が先行した結果だ。

円と元の直接取引はじまる/中国の円買い

‎6月1日、円と人民元の直接取引が始まった。相場は、ドル介在水準とほぼ同じなのは当然としても、直接取引相場の登場は歴史的な意義を持つことである。私は、人民元が早急に完全な国際化を果たすべきだと思っているので、今回の出来事はその動きをさらに一歩強める働きをすると期待したい。
世界第二位の経済規模を持つ中国の人民元がはやく独り立ちすることが、円に逃げてくる国際通貨市場の動き(円への逃げ相場)を緩め、過剰な円高を抑制する働きを担うことに通ずるのである。

現在人民元は管理変動相場制という固定相場制と変動相場制の中間的な仕組みを採用しており、一日当たりの変動幅を上下3%に制限している。また、詳しくは報道されないが元売りドル買介入を頻繁に行い、元・ドル相場の安定に苦心している。
私は、円高進行の大きな要因の一つに、国際外為市場における中国政府による巨額の円買い介入が暗躍しているとみている。
今回の円と元の直接取引の開始は、この動きを容易にする仕組みの登場という一面もあることに留意すべきである。もっとも、実際の円買いをだれがどこで、行っているか闇なので、いまのままでも円買いを思いのまま進めることができる。なにせ、中国には3兆ドル以上の外貨があるのだから。