2012/11/20

中国の労働分配率の低さの異常さ

 一般に労働分配率はある年、ある期間の労働者報酬を粗国内総生産(国内総生産+減価償却費)で割って計ります。日本や欧米は60~70%です。

 ところが中国は非常に低いのです。ある人は40%程度と言っています。でも、実際はもっと低いだろうと思います。中国の都市勤労者の労働生産分配率を計る際に留意すべきは、GDPから第一次産業部門のGDPを差し引く必要があることです。というのは、中国統計の労働者報酬は農民の所得が控除されたものだからです。そうして、計算してみてください。とても低い結果になります。

 なぜでしょうか?中国においてはGDPが多い割に、普通の庶民の生活が苦しいのはなぜなのでしょうか?ちゃんとした理由があります。

 一方、農民の労働分配率は?その答えは、原則的には100%です。農民以外に農民の所得を分け取る者は、いないことになっているからです。所得税もなしですから、農民は付加価値のすべてを自分の財布にいれることができます。 

 でも、これは計算の約束事のうえでのはなしで、実際は、肥料業者や種業者や農薬業者や運送業者や市場関係者などなどが自分に帰属する付加価値として、すでに、とれるだけとったあとに残った付加価値を得ているにすぎません。この最後に残った農民の付加価値がGDPの三次産業分割のうち第一次部門に計上されいているものに該当します。ですから、農民の労働分配率は100%になるのです。でも、これは一種のトリックと言ってもいいでしょう。アグリカルチュラル・エコノミック・トリックス です。