2012/12/01

習近平が住んでいたというヤトトン

習近平が陝西省で住んでいたというヤトトンとは、右の二枚の写真のうち、下にある形式のものです。内部は、きれいなものです。
ヤオトンに住んでいたというと、なにか、貧困生活をしていたかのような、むらびとの暮らしがわかるかのような解説が目立ち、それが習近平の体験の人間的な側面を強調するのに役立っているようだが、実態は少々ちがう。貧困生活者はこのようなヤオトンには住めず、上の写真の方に住むのである。
いずれも筆者が現地で撮った写真である。この二つでは、内部のレイアオウトも綺麗さもまったく異なる。陝西省は甘粛省などでは、昔はみな、こんな暮らしをしていたのであって、特別なことではない。

中国農民のローエンド自動車保有の増加

私の統計的な分析では、年間実所得が15,000元(200,000円程度)になると、農民の10%が自動車を持つようになる。
日本では、平均月収300,000円になったとたん、50%が車をもつようになった。それは1978年ころのことであった。
中国の都市住民の場合、50%の保有率になる層は年間実所得が58,000元(750,000程度)である。
いま、中国には1億台を超える自動車が走っている。そのうち、わずか700万台が農民所有である。

しかし、いま、農村をわかせているのは、300,000円程度の電池自動車だ。この程度だと、買える農民層も少なくない。この手のローカル・ローエンド車をつくるメーカーは、私の資料調査では、中国に200社はある。
この調子で、農民の車所有はどんどん増える構図ができつつある。

2012/11/27

中国・・・農地の資本化 と師匠

「農地の資本化」という議論がだんだんと多くなってきた。専門の研究書もかなり出ている。これにはさまざまな形がある。
ひとつ、農地の農外転用、たとえば工業用地や商業用地に変える。農民は、地代収入を得る。事実上、離農となる。
ひとつ、農業の企業化。これも企業に農地を提供する。本人は雇われ作業農民となるか、リタイア。

農業土地問題は経済学のなかで、もっとも重厚かつ品格ある議論の場である。なんといっても経済学は、農業経済学が嚆矢なのです。
私の師匠(複数)は、この農地問題で悪戦苦闘した方々だ。お一人はすでに旅たった。あとのお二人は健在であり、先日、そのうちのお一人が書いた随筆を読んだ。この方の頭脳は年齢を知らないかのようだ。私の師でもあり、この方の友人でもある方の死を悼む内容だが、書いてあることは経済学だった。文章がすごく明晰でもあった。

その随筆を乗せた小栞はある出版社の社長の趣味兼宣伝物だが、この社長ときたら、これまた尋常ならざる達文家。骨のある編集者兼経営者である。一冊、拙著も出させていただいたことがある。また、お願いしようかなあという気も少し湧いてきた。

「農地の資本化」から話題がずれたが、私のなかで、根っこはつながっている。農地と資本ということばを聞くと、使うと、厳しかった修練の時代を思い起こすのである。師はありがたきかな・・・・