2018/09/28

中国で大豆価格と豆粕価格が上昇と日本

 中国がアメリカからの大豆輸入に25%の関税をかけ、発動されてから中国の大豆価格と養豚のタンパク質飼料として欠かすことができない豆粕価格が上昇しています。 大豆価格の上昇は、大豆油メーカーと消費者、豆粕メーカーと養豚業者、ひいては中国人全部といってよい豚肉消費者にマイナスの影響を与えています。 ところが豚そのもの価格は、現時点(9月末)むしろ低下しているのです。これは矛盾のように見えます。しかし、実態は理路整然としていることです。  つまり、大豆の輸入関税引き上げが経営コストの上昇を招くと察知した養豚業者は、はやめに出荷してしまっているため、価格が軟調になったのです。この集中出荷時期を超えると、豚肉価格はコストプッシュの上昇を始めることでしょう。その時期は、12月~春節の時期になろうと思われます。  では、日本にとって、以上のことはどんな問題をもたらすでしょうか? 火を見るよりも章かなことですが、日本が輸入する大量の豚肉を使った加工食品の価格が上がるでしょう。大豆の自給率が極端に低い日本にとって、大豆価格の世界的上昇は、多くの食材の価格上昇を招く恐れがあるでしょう。米中貿易摩擦は、対岸の火事ではないことになります。

2018/09/24

中国、アメリカらの穀物(大豆)輸入が激減、8月の輸入統計 

昨日(9月23日)中国政府が発表したデータと、去年の同じ時期のデータを比較してみました。 すると、今年8月のアメリカからの穀物輸入量が10分の1以下に激減していることが分かりました。  この多くはアメリカ依存の大きかった大豆と思われますが、こんなことは過去なかったことです。  アメリカに対抗して、中国が自給率10数パーセントの大豆に、25パーセントの輸入関税をかけた事が大きな影響として現れた格好です。  マスコミの一部は、ブラジル、アルゼンチン、インドから代替輸入すれば良いなどといいますが、大豆の品種は同じではありません。  すでに中国の大豆価格、家畜の餌として欠かせない豆粕などの価格は上昇を始めています。  代わって輸入される大豆は、遺伝子組換え大豆がほとんどなのです。これらの国に、非遺伝子組み換え大豆を作り、輸出することは不可能です。 化学肥料と農薬で土壌が死んでいるのです。 勇気のある人ばかりなら良いのですがー。

2018/09/22

中国は対米反撃のため、保有するアメリカ国債を売るのか????

 米中貿易摩擦問題を打開するため予定されていた米中政府間交渉が、急きょ取りやめになったというニュースが流れた。トランプの対中第三弾となる2000億ドル規模にのぼる制裁関税引き上げが発表されたことが原因という。話し合いによる解決が望ましいことはいうまでもないが、早くとも、共和党の劣勢が伝えられる中間選挙が終わるまで、話し合いの糸口は見つかるまい。  弾の残るアメリカ、反撃の弾が底を突きそうな中国、勝負はあったと、早とちりをする動きもある。また、一方では中国には1兆3000億ドルものアメリカ国債があり、これを売ればアメリカの金利は上がり(国債価格は暴落)、国家財政は破たんするだろうから、中国の勝ちだいうのも、一種のはやとちりだ。中国も売ればいいというのではなく、買ったときの額面利回りと現在の市場金利との比較をしなければ、自分が大損をするだけだから、ことはそう単純ではないだろう。中国が持っている国債は、期間も買った時期もまちまちでバラバラ、その間、国際的な市場金利は変動を繰り返していた。    加えて、元とドル相場、傾向的に元高へ動いてきたが、それもいまは、元高のようで元安に動いたりと、単純ではないのだ。売るにしても、全部いちどきに売ることはありえないということで、いわれるような投げ売りはあり得ないというべきだ。  つまり、米中、双方ともに決定打がないのである。相互依存関係にある両国は、結局は元のさやに収まることが最善の成り行きなのだ。

2018/09/17

中国、アメリカからの輸入大豆に25%の関税の影響

 中国政府による、アメリカからの輸入大豆に25%の報復関税をかけた中国国内の影響は、いずれはコスト上昇となって、飼料メーカー、家畜業者、食用油メーカーに及び、遺伝子組み換え大豆の輸入増、国内生産の可能性に及ぶ可能性が出てきた。    すでに、飼料を海外に依存する中国の家畜コストは上昇、それはさらに拍車がかかるだろう。家畜業者の悩みは飼料と家畜の病気だ。とくに養豚業者は豚コレラ、口蹄疫などの伝染病、養鶏業者はこれから冬に向かい渡り鳥のシーズンを迎え、鳥インフルが猛威をふるう懸念がある。それには、高いクスリを準備しなくてはならない。  ただでさえコスト高に苦しめられているのに、経営費のうちでもっとも比率の高い飼料が値上がりするとなれば、経営は火の車となってもおかしくない。  遺伝子組み換え大豆は、すでに中国の食卓にのぼっている。
                        写真の食用油は、私が中国のスーパーで買ったモノ。ラベルには、原料が遺伝子組み換え菜種と大豆であることが記されている。いま、これを書いている私の机に立てかけてある。 こうした食品がさらに増える可能性もある。なお、遺伝子組み換え大豆の輸入量や消費情報は、いま、中国のネットから削除されている。    家畜業者の飼料原料の大豆はブラジルやアルゼンチン、インドなどから代替するようだが、品質や品種は変わる可能性があり、量だけ確保できればいいというものではない。もっとも、大部分は遺伝子組み換え大豆だから価格は抑えられるかもしれないが。  しかし、これを消費者に広まれば、これまであまり遺伝子組み換え作物に関心がなかった消費者間に健康不安がおそい、スーパーの棚から写真のような食油が消えるかもしれない。そして飼料にもそれが使われているということを知ったら、消費者はどう反応するだろうか?

2018/09/15

新著です。

食品汚染問題の本質に迫った本です。

中国が輸入関税を25%に引き上げた大豆だが・・・・中国産大豆の惨状を現場からレポート

 今年(2018年)8月、山西省の農村地帯を歩いた際、探して歩いた大豆畑をついに見つけた。大豆の産地は黒竜江省など東北三省に広がっているが、中国人になくてはならない大豆、気象条件(比較的北方)が合えば、農民だれもが作れる作物だ。     ところが、中国の現状はどうかというと、自給率は13~15%、多くはアメリカとブラジルなどからの輸入に依存し、輸入量は年々増加、1億トン手が届きそうな窮状なのだ。 その背景には、大豆消費量の増加に追い付かない国内生産という実態があるが、生産が追い付かないどころか、生産自体が減っていることが大きな要因になっている。ちなみに、国家統計局のデータによると、大豆(統計表示は豆類だから、すべてが大豆とはいえないが大部分が大豆と考えてよい)の作付面積と生産量のピークだった1994年と直近の2016年を比較すると、以下のとおりである。           1994年           2016年   作付面積  1,273万6,000ヘクタール   970万ヘクタール   生産量   2,096万トン         1,731万トン  減少は作付面積303万ヘクタール、生産量365万トンにも達してる。これだけの縮小が起きたのはなぜか? 1、米、トウモロコシ、小麦、野菜、果物、果樹にくらべ、土地面積当たり収益が少ない(マイナスの場合も)。 2、面積当たり収量の伸びが低い(1994年:1650㎏/ha、2017年:1790kg/ha)。確かに面積当たり収量は少しだけ上がっている。だが、収益が上がらない理由を写真(上)が物語っている。実が少ないのだ。  ではなぜそうなのか? 1、土が弱体化。地力がほぼ消滅していること。 2、写真(下:大豆畑は右側、左はコウリャン)が示すように、畑全体の手入れがほどこされていない。つまり細かな手作業をコツコツとやる農作業労働力が不足しているのだ。  ちなみに、写真(上)の日本産大豆、ころころと太って、しかも甘味があり、ビールのお供にも最高! とはいっても、日本も威張ってはおられない。大豆自給率は、中国にはるかに及ばないのだから。