2018/09/17

中国、アメリカからの輸入大豆に25%の関税の影響

 中国政府による、アメリカからの輸入大豆に25%の報復関税をかけた中国国内の影響は、いずれはコスト上昇となって、飼料メーカー、家畜業者、食用油メーカーに及び、遺伝子組み換え大豆の輸入増、国内生産の可能性に及ぶ可能性が出てきた。    すでに、飼料を海外に依存する中国の家畜コストは上昇、それはさらに拍車がかかるだろう。家畜業者の悩みは飼料と家畜の病気だ。とくに養豚業者は豚コレラ、口蹄疫などの伝染病、養鶏業者はこれから冬に向かい渡り鳥のシーズンを迎え、鳥インフルが猛威をふるう懸念がある。それには、高いクスリを準備しなくてはならない。  ただでさえコスト高に苦しめられているのに、経営費のうちでもっとも比率の高い飼料が値上がりするとなれば、経営は火の車となってもおかしくない。  遺伝子組み換え大豆は、すでに中国の食卓にのぼっている。
                        写真の食用油は、私が中国のスーパーで買ったモノ。ラベルには、原料が遺伝子組み換え菜種と大豆であることが記されている。いま、これを書いている私の机に立てかけてある。 こうした食品がさらに増える可能性もある。なお、遺伝子組み換え大豆の輸入量や消費情報は、いま、中国のネットから削除されている。    家畜業者の飼料原料の大豆はブラジルやアルゼンチン、インドなどから代替するようだが、品質や品種は変わる可能性があり、量だけ確保できればいいというものではない。もっとも、大部分は遺伝子組み換え大豆だから価格は抑えられるかもしれないが。  しかし、これを消費者に広まれば、これまであまり遺伝子組み換え作物に関心がなかった消費者間に健康不安がおそい、スーパーの棚から写真のような食油が消えるかもしれない。そして飼料にもそれが使われているということを知ったら、消費者はどう反応するだろうか?

2018/09/15

新著です。

食品汚染問題の本質に迫った本です。

中国が輸入関税を25%に引き上げた大豆だが・・・・中国産大豆の惨状を現場からレポート

 今年(2018年)8月、山西省の農村地帯を歩いた際、探して歩いた大豆畑をついに見つけた。大豆の産地は黒竜江省など東北三省に広がっているが、中国人になくてはならない大豆、気象条件(比較的北方)が合えば、農民だれもが作れる作物だ。     ところが、中国の現状はどうかというと、自給率は13~15%、多くはアメリカとブラジルなどからの輸入に依存し、輸入量は年々増加、1億トン手が届きそうな窮状なのだ。 その背景には、大豆消費量の増加に追い付かない国内生産という実態があるが、生産が追い付かないどころか、生産自体が減っていることが大きな要因になっている。ちなみに、国家統計局のデータによると、大豆(統計表示は豆類だから、すべてが大豆とはいえないが大部分が大豆と考えてよい)の作付面積と生産量のピークだった1994年と直近の2016年を比較すると、以下のとおりである。           1994年           2016年   作付面積  1,273万6,000ヘクタール   970万ヘクタール   生産量   2,096万トン         1,731万トン  減少は作付面積303万ヘクタール、生産量365万トンにも達してる。これだけの縮小が起きたのはなぜか? 1、米、トウモロコシ、小麦、野菜、果物、果樹にくらべ、土地面積当たり収益が少ない(マイナスの場合も)。 2、面積当たり収量の伸びが低い(1994年:1650㎏/ha、2017年:1790kg/ha)。確かに面積当たり収量は少しだけ上がっている。だが、収益が上がらない理由を写真(上)が物語っている。実が少ないのだ。  ではなぜそうなのか? 1、土が弱体化。地力がほぼ消滅していること。 2、写真(下:大豆畑は右側、左はコウリャン)が示すように、畑全体の手入れがほどこされていない。つまり細かな手作業をコツコツとやる農作業労働力が不足しているのだ。  ちなみに、写真(上)の日本産大豆、ころころと太って、しかも甘味があり、ビールのお供にも最高! とはいっても、日本も威張ってはおられない。大豆自給率は、中国にはるかに及ばないのだから。