2018/10/17

                         先だって中国のスーパーで撮影した大豆油です。大きく「遺伝子組み換えでない」と表示されています。  中国では遺伝子組み換え大豆についての消費者の忌避が広まり、こう表示しないと売れなくなったのです。国営放送のCCTVも、遺伝子組み換え農産物の産地でガンの罹患率が高くいと警鐘を鳴らすような報道番組みを流すようになりました。  CCTVといえば中国政府の宣伝機関ですから、そこが作った番組みが遺伝子組み換え食品の危険性を喧伝し始めたのはおどろきです。  写真の大豆油の「遺伝子組み換えでない」との表示、大きな文字で書いてあります。売り場では、ほとんどの食用油がこのような表示が書いてあります。中国人の消費する食用油に原料は大豆、菜種、ひまわり、ラッカセイですが、どれも同じような表示方法です。  売り場の棚の隅っこに、このような表示がないもの―つまり遺伝子組み換え原料で作った食用油―もありますが、両方とも、価格はほぼ同じです。  栽培コストが違うはずなのに、価格が変わらない。なぜだと思いますか?   実は、両方とも原料は同じ遺伝子組み換え大豆だからでしょう。    実際、このような表示の仕方には疑問を覚えます。何となれば、遺伝子組み換えでないとされる国産大豆、その量は国内消費量の15%もなく、大部分がブラジル、アルゼンチン、アメリカからの輸入組み換え大豆を原料とするからです。アメリカからの大豆輸入は今年の春から減少、輸入関税で高騰したため、8月にはほとんどストップしていますが、ブラジル、アルゼンチンとも名だたる遺伝子組み換え大豆大国との評判の高い国です。  中国消費者の忌避傾向、まずます広がりを見せています。  そこで、注目され出したのがゲノム編集大豆やさまざまな農産物です。中国では、6~7年ほど前から、ゲノム編集農産物の実用化に向けた実験がはじまり、中国農業科学院深圳 農業ゲノム研究所(写真)、中国科学院北京ゲノム研究所などが実用化に向けた多くの農産物や家畜、魚介類の試験研究に取り組んでいます。ゲノム編集食品が中国人の食卓に上る日は、そう遠くではないと見られています。でも安全かどうか、やはり不安は消えないようです。