2018/10/10

中国の農村現地で聞いたはなし   豚コレラが猛威

 先週、中国の河南省で聞いたこと。日本にも発生したが、いま中国ではアフリカ豚コレラが蔓延、あおりを受けてか豚肉の消費者価格が低下している。実際、スーパーの売り場を見ると、等級や産地に関わりなく、値下げして売っている。それでも、観察しているかぎり買っていく消費者はいなかった。    豚コレラは人間には感染しないと言われているが、一般消費者には不安があるらしい。  売れずに困るのは小売店にとどまらず、生産者、中間流通業者と広い。だが、打つ手がないのが現状だ。結果、とくに生産者の経営圧迫は大きく、倒産の危機を我慢で潜り抜けようとする気配があった。  実際、養豚業者に会って話を聞くと、自分の経営も我慢の限界にきているがエサを安くして時間が過ぎ去ることをじっと待っているだけだという。しかも、政府からの資金面でのサポートは皆無なのだという。  いなかの高速道路の方々で、豚の違法輸送移動がないかを検問するゲートが目立つのだった。  今回の調査結果概要は、今後、折に触れて書く予定です。

2018/10/03

中米貿易摩擦の取材、急きょ訪中

 急きょ、中米貿易摩擦の中国における影響の現れ方を取材するため、中国のある地方へ行くことにしました。 今回は朝日新聞のM記者が同行します。これまで、報道された中国でのこの影響、ほとんどが記者の知識不足と勉強不足から、掘り下げ方が弱く素人でさえピンとこないものが多く見受けられました。    今回は、周到な準備のもと資料を調べに調べ、取材相手はピンポイントで絞っています。取材相手は、日本人は警戒され、なかなかほんとのことを言ってくれないことが多いのです。若いころ、鵜呑みにして失敗した経験が身に染みています。  今回は、中国が国慶節で連休中にもかかわらず、取材の協力をしてくれる方がたを探しました。私は、トランプの経済外交は間違いであることはいうまでもなく、かならず失敗すると思います。経済を多少は勉強した者の目からみると、めちゃくちゃな思い込みが、今回の間違いを生みだしたというほかありません。問題は、中国が、これにすっぽりとはまってしまっている点にあります。対抗措置が間違いの上乗りをして、出口を失っているのが問題です。これによって、自国民が大変な被害を被っているのです。  現地の取材概要は、追ってこの欄で紹介しましょう。

2018/10/01

食品由来の薬剤耐性を考える

 ある週刊誌からの取材申し込みがあって、いつものことだけど用件を確かめて、下調べをしてみた。用件は、日本の抗生物質と成長ホルモンのことだけど、答えるまえに、軽く書きたくなった。話の筋は別なところにありそうだから、買いてもいいでしょう。  驚いたことに、日本の薬剤耐性出現率、ペニシリンに関しては世界最悪の40%を超えているんです。簡単にいうと、これがだんだんと効かなくなっているということ。ペニシリンで菌が強くなったのです。ペニシリン以外に、抗生物質はまだたくさんの種類があるが、厚労省はできるだけ使ってほしくなさそうだ。  一方、抗生物質の日本の製造量と輸入量は大きく、年間の売り上げは290憶円の市場。EUでは禁止している抗生物質、日本は、まだ決断できていないのです。昨日から今日にかけて、けっこう大量のデータを調べると、家畜、水産物、加工食品に基準超えが目立つ。統計的にいったら少ないが、宝くじと一緒で、基準超えに当たった人は運が悪いことになる。最近、まち医者へ行っても、風邪くらいでは抗生物質は処方しない。私の行きつけのお医者さんは、注射もしない。なかなか、治りにくい薬をくれるだけだ。しかたない。むしろ売薬に、効くものがある。  抗生物質の侵入経路は、1家畜・魚介類・加工食品、2医薬品。輸入依存の高い日本では、前者は減らないだろう。できそうなことは医薬品を選ぶことだが、そのまえに、健康管理に気をつけることしかない、としみじみ思った次第である。

2018/09/28

中国で大豆価格と豆粕価格が上昇と日本

 中国がアメリカからの大豆輸入に25%の関税をかけ、発動されてから中国の大豆価格と養豚のタンパク質飼料として欠かすことができない豆粕価格が上昇しています。 大豆価格の上昇は、大豆油メーカーと消費者、豆粕メーカーと養豚業者、ひいては中国人全部といってよい豚肉消費者にマイナスの影響を与えています。 ところが豚そのもの価格は、現時点(9月末)むしろ低下しているのです。これは矛盾のように見えます。しかし、実態は理路整然としていることです。  つまり、大豆の輸入関税引き上げが経営コストの上昇を招くと察知した養豚業者は、はやめに出荷してしまっているため、価格が軟調になったのです。この集中出荷時期を超えると、豚肉価格はコストプッシュの上昇を始めることでしょう。その時期は、12月~春節の時期になろうと思われます。  では、日本にとって、以上のことはどんな問題をもたらすでしょうか? 火を見るよりも章かなことですが、日本が輸入する大量の豚肉を使った加工食品の価格が上がるでしょう。大豆の自給率が極端に低い日本にとって、大豆価格の世界的上昇は、多くの食材の価格上昇を招く恐れがあるでしょう。米中貿易摩擦は、対岸の火事ではないことになります。

2018/09/24

中国、アメリカらの穀物(大豆)輸入が激減、8月の輸入統計 

昨日(9月23日)中国政府が発表したデータと、去年の同じ時期のデータを比較してみました。 すると、今年8月のアメリカからの穀物輸入量が10分の1以下に激減していることが分かりました。  この多くはアメリカ依存の大きかった大豆と思われますが、こんなことは過去なかったことです。  アメリカに対抗して、中国が自給率10数パーセントの大豆に、25パーセントの輸入関税をかけた事が大きな影響として現れた格好です。  マスコミの一部は、ブラジル、アルゼンチン、インドから代替輸入すれば良いなどといいますが、大豆の品種は同じではありません。  すでに中国の大豆価格、家畜の餌として欠かせない豆粕などの価格は上昇を始めています。  代わって輸入される大豆は、遺伝子組換え大豆がほとんどなのです。これらの国に、非遺伝子組み換え大豆を作り、輸出することは不可能です。 化学肥料と農薬で土壌が死んでいるのです。 勇気のある人ばかりなら良いのですがー。

2018/09/22

中国は対米反撃のため、保有するアメリカ国債を売るのか????

 米中貿易摩擦問題を打開するため予定されていた米中政府間交渉が、急きょ取りやめになったというニュースが流れた。トランプの対中第三弾となる2000億ドル規模にのぼる制裁関税引き上げが発表されたことが原因という。話し合いによる解決が望ましいことはいうまでもないが、早くとも、共和党の劣勢が伝えられる中間選挙が終わるまで、話し合いの糸口は見つかるまい。  弾の残るアメリカ、反撃の弾が底を突きそうな中国、勝負はあったと、早とちりをする動きもある。また、一方では中国には1兆3000億ドルものアメリカ国債があり、これを売ればアメリカの金利は上がり(国債価格は暴落)、国家財政は破たんするだろうから、中国の勝ちだいうのも、一種のはやとちりだ。中国も売ればいいというのではなく、買ったときの額面利回りと現在の市場金利との比較をしなければ、自分が大損をするだけだから、ことはそう単純ではないだろう。中国が持っている国債は、期間も買った時期もまちまちでバラバラ、その間、国際的な市場金利は変動を繰り返していた。    加えて、元とドル相場、傾向的に元高へ動いてきたが、それもいまは、元高のようで元安に動いたりと、単純ではないのだ。売るにしても、全部いちどきに売ることはありえないということで、いわれるような投げ売りはあり得ないというべきだ。  つまり、米中、双方ともに決定打がないのである。相互依存関係にある両国は、結局は元のさやに収まることが最善の成り行きなのだ。

2018/09/17

中国、アメリカからの輸入大豆に25%の関税の影響

 中国政府による、アメリカからの輸入大豆に25%の報復関税をかけた中国国内の影響は、いずれはコスト上昇となって、飼料メーカー、家畜業者、食用油メーカーに及び、遺伝子組み換え大豆の輸入増、国内生産の可能性に及ぶ可能性が出てきた。    すでに、飼料を海外に依存する中国の家畜コストは上昇、それはさらに拍車がかかるだろう。家畜業者の悩みは飼料と家畜の病気だ。とくに養豚業者は豚コレラ、口蹄疫などの伝染病、養鶏業者はこれから冬に向かい渡り鳥のシーズンを迎え、鳥インフルが猛威をふるう懸念がある。それには、高いクスリを準備しなくてはならない。  ただでさえコスト高に苦しめられているのに、経営費のうちでもっとも比率の高い飼料が値上がりするとなれば、経営は火の車となってもおかしくない。  遺伝子組み換え大豆は、すでに中国の食卓にのぼっている。
                        写真の食用油は、私が中国のスーパーで買ったモノ。ラベルには、原料が遺伝子組み換え菜種と大豆であることが記されている。いま、これを書いている私の机に立てかけてある。 こうした食品がさらに増える可能性もある。なお、遺伝子組み換え大豆の輸入量や消費情報は、いま、中国のネットから削除されている。    家畜業者の飼料原料の大豆はブラジルやアルゼンチン、インドなどから代替するようだが、品質や品種は変わる可能性があり、量だけ確保できればいいというものではない。もっとも、大部分は遺伝子組み換え大豆だから価格は抑えられるかもしれないが。  しかし、これを消費者に広まれば、これまであまり遺伝子組み換え作物に関心がなかった消費者間に健康不安がおそい、スーパーの棚から写真のような食油が消えるかもしれない。そして飼料にもそれが使われているということを知ったら、消費者はどう反応するだろうか?