2011/11/10

地溝油

 数年前、ハルビンで食べたナスと豚肉を柔らかく油で炒めた料理を、真昼中、冷たいハルビンビールを飲みながら食べようとしたことがある。中国のビールのアルコール度は2~3度で弱いがおいしい。


そのナスと豚肉料理だが、熱い一口を箸で口に運んだが、とたんに、機械油の香が口中に広がった。とても食べられたものではなく、吐き出して、店員に文句を言った。店員は、何も言わずに、皿を持って厨房の奥に消えた。結局、代わりを頼むことなく、ビールだけ飲んで外へ出た。

その料理に使った油こそ、いま話題の地溝油に違いない。地溝油とは、下水から取った油を再生させて販売する食用油のことだ。流しから捨てた使用済みの油、そして機械油などを再び使うのだ。いま大きな問題になっており、政府もやっと、対策に乗り出した。

2011/11/01

上海市内の黒い川。環境問題はいまなお深刻だ。

農業問題研究44年

大学1年から数えて、農業問題を経済学の視点で研究に取り組んでから44年が経った。脇目をふらず、一筋だ。就職したら農村調査マンとして生きることを決めていたので、関係のない仕事はしなかった。32歳のときでも、月の給料は4万円のときがあった。それでも農村調査を続けた。そして多くの人に助けてもらったが、農業問題と生きることを変えるつもりは微塵もなかった。日本全国の農民と会い、話を聞き、そしていまは、中国の農民と話している。そうして得た結論の一つは、農民の立場や考え方、生き方は、国境を超えても、日本と中国が恐ろしいほどそっくりなことだ。農民を盾に身を守ろうとする集団や個人、政治家、官僚がいるのも似ている。なぜだろう?制度や環境、条件が違っても、農業にはもともと国境がないからである。もちろん、国家、制度、環境、条件の差は農業にとっては大きな問題である。しかし、その差を超えて、農民という次元になると、一つなのである。この点は、アメリカ、ドイツ、イタリアなど、私が訪れた多くの国にも当てはまる。

2011/10/11

TPP論議に思う:推進派の一人として

 TPPへの参加をめぐる議論が見えないのはなぜかというと、政界、官界、学界の99%の「議論」が感情と思い込み、そして決め付けだからだ。冷静に考えれば、TPPへの参加は今後の日本にとって必須である。日本の近代化は、現状を保守しようとする勢力と開国による新しい時代を築こうとする人々の葛藤を超えて成し遂げられてきた。日本にとって、開国と国際社会との協調は、常に最優先の課題である。
 この問題についての感情にとらわれない主張として、今週刊行される拙著『新型世界食料危機―中国と日本の戦略―』(論創社、2100円)をお読みください。
 また、この問題について私と論争されたい方がおられれば、いつでも、どこでも、どなたに対しても、論争に応じます(ただし、授業時間外)。

2011/10/05

NEW BOOK

『新型世界食料危機の時代―中国と日本の戦略-』(論創社:税込2100円)を刊行しました。
『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新聞出版)の続編ですが、現在問題になっているTPPやFTAなど、国際的視点を加えました。
  書店発売は10月12日です。ぜひ、お買い求めくださいますようお願いします。

中国国産車。1台60万円。すごい人気だった。(青海省西寧市)2010年。

中国農村、のどかな光景(浙江省にて2009年)

タイ、ピサノローク県(バンコクから380km)ナレースワン大学生と。ゼミ旅行。

タイ農村の大洪水。バンコクから300km(2011.9、筆者撮る)

2011/08/22

新著PR 『新型世界食料危機-中国と日本-』(論創社刊)

 『新型世界食料危機-中国と日本-』の校正がやっと終わった。まもなく上梓の運びとなる。
自分で撮った写真と図表を含めて約300ページ。
昨今は震災に乗じた売らんがための出版が溢れている。本、週刊誌とも大津波のごとく、本屋の棚に溢れている。
今度の私の本は、震災の問題はできるだけ最小限に抑え、同時多発的に、人災と自然災が入り乱れて、世界規模で起きている食料危機の現状と原因を、中国と日本を題材に述べ、たものだ。
出版社は論創社。社長の森下氏とは30年来の友人で、かって「国家論研究」を出していたピリリと光る山椒のような出版社だ。いつか、ここから出したいと思っていた一つの願いがかなった。