このほど統計がそろう世界178か国のカロリーベース穀物自給率(対象は畜産物の飼料を含むコメ、小麦、トウモロコシ、大豆)を試算してみた。最新の統計データ(FAO:酪農品に補足上の弱点があるので留意の必要あり)は2019年。
その結果、自給率が100%以上の国・地域は29、わずか16%にとどまることが分かった。残りの149か国84%は100%未満(グラフ参照)。
もっとも高いのはウクライナ500%を超える。ちなみにロシアは117%。両国はいつ終わるとも分からないドンパチをやっていることもあり、世界の穀物の需給は不安定さを増す。
世界最大の穀物生産国の中国(本土)は80%そこそこ、日本は、といえば驚くなかれ
21%少し。この秋、日本の穀物と畜産物(豚肉・牛肉・鶏肉・酪農品・・・)の価格は円安の拡大ともあいまって、高騰する可能性がある。
輸出余力のある、100%以上の少数の国は南北アメリカ、ウクライナ、ロシア、豪州、フランスなど欧州のごく一部にとどまる。
しかしどの国も地球をめぐる新しい変化、たとえば気候危機、土壌危機、農薬など化学物質汚染に直面し、貧しい国ほど、豊かな国による食料買い占め競争や戦争・紛争のあおりをうけ、食糧が手に入りにくくなっている。貧しい国は二重の理由から深刻な食糧危機に直面しつつある。