2011/12/28

加藤君、上海で撮った写真。わざわざ鋼材置き場へ行ってもらいました。

イチゴ農家の加藤くん

イチゴ農家の加藤くん。また上海で頑張ってきたようだ。
まったく、この国の農政はどうなっているのだろう。今度の農業関連予算の作り方、何の工夫のかけらもない。これで消費税?呆れて、ものもいえない。100万円でもいいから、加藤くんに回してくれ、と叫びたいのである。

2011/12/27

中国の外貨準備に占める円

中国の外貨準備高は、元売りドル買いと輸出超過、海外旅行者増が重なって3兆ドルを優に超えている。大部分はドルとユーロだが、円がどのくらいあるかは、中国が公表していないので不明である。私はかなりあるとみているが、それが円高の大きな理由でもあると思う。いまは帰国した大学の元同僚、馮昭奎氏(中国社会科学院名誉研究員)は、「日本を潰すことは簡単だ。円高にすればいいのだ」と、昨年の9月の事件の後、中国紙に寄稿したものだ。今度北京で会ったときこの議論をしてみようと思う。彼は中国では、日本研究の第一人者で影響力も極めて大きい人物だ。日本を熟知しているから言えることでもある。
先ほどのブログで、私は誤って、中国が「日本国債」をどれくらい持っているかを調べていると書いたが、勘違いで、「外貨準備のうちの円」について調べている。野田総理が中国国債を100億ドル買うと言ったものだから、余韻が残っていたようだ。

中国鉄鋼業は不況に進んでいる、他

いつも中国が発表する経済指標を眺めてはいるが、最近気になることは鉄鋼生産や生鉄の生産がマイナスになってきたことだ。過剰生産である。その背景は多様だが、鉄鋼を多消費する固定資産投資、たとえばマンション、道路、工場、造船などの先行投資部門からの受注減予測があることは確実。中国には零細企業を含めると、鉄鋼メーカーが千社以上あるが合理化は遅々として進まない。おそらく、鉄鋼メーカーは改革開放以来、はじめての不況に直面する可能性が否定できない。

海外への資本逃避(キャピタル・フライト)の動きも気になるところ。2008年から毎年中国から数百億ドルにのぼる資本逃避が起きている。資本逃避とは違法取引であり、中国資本が海外に投資するFDIなど正規のルートとはまったく異なる概念。2010年は600億ドル、2009400億ドル、2008260億ドル、だんだんと増えている。手口はさまざまあり、海外取引先との合意による不正伝票作成はもっとも普通の常套手段。来年、中国経済は減速幅が拡大するので、過剰な国内資本はさらに、この手を使って海外へ流れていくはずである。

いま、私は中国の日本国債保有額の推定作業をしている。正確な額は、だれも分かっていない。中国政府が秘密にしているからだ。

2011/12/25

中国経済の天井と深刻な資金余剰

中国経済が、天井に当たり始めたような印象がする。といって、バブルがはじけるとか、成長率が5%台、大幅に下がるとかというわけではない。天井は、文字通り天井だから、いままでのような12,13%といった高い成長はもはや過去のことになりつつあるということだ。たぶん、8~6%という数字に向かって経済の転換が進む可能性がある。
経済学に「限界成長率逓減の法則」という考え方があるが、いまの中国はまさにこれが当てはまりそうな気配がある。中国は構造的な民間資金過剰、政府部門の赤字という構造問題を抱えており、一向に変わらない。
これは、税収システムの問題もあるが、民間部門が国内投資先を持っていないことが根本的な問題だ。投資収益を確保できる安全な投資先が見つけられないというわけだ。では、余剰資金はどこへ行っているのか、その答えは、外国への直接投資と間接投資つまり証券投資である。一部は、資本逃避つまり海外への資金流出だ。
民間のありあまるお金をいかに有効に使うのか、この点が中国のマクロ経済政策の要諦である。

2011/12/20

農民はマンション住民に、しかしここに矛盾も棲む

中国では、農地を収用される代わりに、マンションを与えられることが進行している。一人70㎡、3人家族の場合210㎡となる。そこで、農業をやめてマンションを貸して家賃収入で生活しようとする者が増えている。
農民家主の誕生である。しかし、これがうまくいくとは限らない。借り手がいればいいが、場所が農村なので借り手がそうはいない。そこで、どうなるかといえば、仕事を失ったマンション元農民住民が増加することになる。豪華な摩天楼のなかで、多くの家持無産者が住むという新しい矛盾が棲息することとなる。

2011/12/16

日本の農地法

日本農業再生と強化のためには、まず、農地法を改正するか廃止することが一丁目一番地。畜産農家とて同じこと。
土地の狭さ、所有権、利用権移動の規制の多さ、複雑さ、大小の官僚介入の機会の多さと煩雑さから農民を解放させてあげたい。
農業経営は、規模の大きな農民、農民が共同で設立した株式会社、物売り・金貸し代行業から足を洗った農協による直接的取り組みも大賛成。

2011/12/05

国会中継を聞いて、日本の将来を憂う

今日、登下校の際、ラジオで国会中継を聞いた。一言、感想をいうと、国会も地に落ちたと実感するのみである。いま、突然の感想ではないが、今日は特にひどかった。内閣の人材のお粗末さはともかく、質問する野党の質問内容の程度の低さ、見識のなさ、品格の欠如も相当なものだ。ただ、声を荒げて、一国の総理に向かって「あなた」呼ばわり。内容ときたら、三文週刊誌以下的な下劣なものだ。ただ足すかし、失言ねらいの攻撃のみ。これでは、税金の無駄遣い以外のなにものでもないではないか。もっと、建設的な意見交換ができないものかね・・・・・・・・・・・。わずかの所得税だが、払いたくないなあ。増税?議員定数の削減はもちろん、国会議員に対する常識問題テスト実施後でないと応じかねる。

2011/12/04

加藤くんの後ろ姿(上海)

なんとか、成功してほしい。いま、彼は、「国際農業経営者」としてもっとも苦しい時にあるようだ。この坂道を登り切ることができればいいのだが。

加藤くんのこと

加藤くんは、上海でイチゴ栽培をしている。日本ではコメや野菜を作り、栽培技術を市民農園を楽しむ人に啓蒙するなど、多くの活動を行う青年だ。昨日は、帰国したばかりで忙しいうえに疲れているのに、私が主宰する研究会に来てくれた。最近は、そんな彼に注目するマスコミが増え、顔も広くなった。彼がごくまれに発する弱音を聞くと、この国は農業振興などと宣伝はするが、実は、ほとんど彼のような意欲ある青年農民の役に立つことは何一つしていないことに驚くことが多い。そのうえに、TPPに関する発言をすると、全農や全中や農協が脅し文句をいう。農協とはなんのだろう。農協や連合会のみなさん、もう一度、農協法をじっくりと読み直し、弱者を救えよ。税法上の優遇措置は、農協の儲けのためにあるのではないはずだ。

2011/11/10

地溝油

 数年前、ハルビンで食べたナスと豚肉を柔らかく油で炒めた料理を、真昼中、冷たいハルビンビールを飲みながら食べようとしたことがある。中国のビールのアルコール度は2~3度で弱いがおいしい。


そのナスと豚肉料理だが、熱い一口を箸で口に運んだが、とたんに、機械油の香が口中に広がった。とても食べられたものではなく、吐き出して、店員に文句を言った。店員は、何も言わずに、皿を持って厨房の奥に消えた。結局、代わりを頼むことなく、ビールだけ飲んで外へ出た。

その料理に使った油こそ、いま話題の地溝油に違いない。地溝油とは、下水から取った油を再生させて販売する食用油のことだ。流しから捨てた使用済みの油、そして機械油などを再び使うのだ。いま大きな問題になっており、政府もやっと、対策に乗り出した。

2011/11/01

上海市内の黒い川。環境問題はいまなお深刻だ。

農業問題研究44年

大学1年から数えて、農業問題を経済学の視点で研究に取り組んでから44年が経った。脇目をふらず、一筋だ。就職したら農村調査マンとして生きることを決めていたので、関係のない仕事はしなかった。32歳のときでも、月の給料は4万円のときがあった。それでも農村調査を続けた。そして多くの人に助けてもらったが、農業問題と生きることを変えるつもりは微塵もなかった。日本全国の農民と会い、話を聞き、そしていまは、中国の農民と話している。そうして得た結論の一つは、農民の立場や考え方、生き方は、国境を超えても、日本と中国が恐ろしいほどそっくりなことだ。農民を盾に身を守ろうとする集団や個人、政治家、官僚がいるのも似ている。なぜだろう?制度や環境、条件が違っても、農業にはもともと国境がないからである。もちろん、国家、制度、環境、条件の差は農業にとっては大きな問題である。しかし、その差を超えて、農民という次元になると、一つなのである。この点は、アメリカ、ドイツ、イタリアなど、私が訪れた多くの国にも当てはまる。

2011/10/11

TPP論議に思う:推進派の一人として

 TPPへの参加をめぐる議論が見えないのはなぜかというと、政界、官界、学界の99%の「議論」が感情と思い込み、そして決め付けだからだ。冷静に考えれば、TPPへの参加は今後の日本にとって必須である。日本の近代化は、現状を保守しようとする勢力と開国による新しい時代を築こうとする人々の葛藤を超えて成し遂げられてきた。日本にとって、開国と国際社会との協調は、常に最優先の課題である。
 この問題についての感情にとらわれない主張として、今週刊行される拙著『新型世界食料危機―中国と日本の戦略―』(論創社、2100円)をお読みください。
 また、この問題について私と論争されたい方がおられれば、いつでも、どこでも、どなたに対しても、論争に応じます(ただし、授業時間外)。

2011/10/05

NEW BOOK

『新型世界食料危機の時代―中国と日本の戦略-』(論創社:税込2100円)を刊行しました。
『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新聞出版)の続編ですが、現在問題になっているTPPやFTAなど、国際的視点を加えました。
  書店発売は10月12日です。ぜひ、お買い求めくださいますようお願いします。

中国国産車。1台60万円。すごい人気だった。(青海省西寧市)2010年。

中国農村、のどかな光景(浙江省にて2009年)

タイ、ピサノローク県(バンコクから380km)ナレースワン大学生と。ゼミ旅行。

タイ農村の大洪水。バンコクから300km(2011.9、筆者撮る)