2023/03/05

農民少なくして農地多し・・・中国、今の実態

コロナ禍で減少していた2021年の農民工(主に住民登録のある故郷から離れて、6か月以上都会に住んで、農業以外の仕事に就く農民=出稼ぎ農民)の数が、なんと2億9千万人に上ったと、中国国家統計局が発表した(昨年)。

これも同じ国家統計局のデータだが、農業等就業人口(正確には第一次産業就業人口)が1億7千万人しかいないのに、出稼ぎ農民がそれよりも1億人以上も多いというのはおかしいことだが、両方を合わせると4億6千万人、幼児や学童を含む農村人口が5億人しかいないのだから、この数はどうみても理屈に合わないところがある。

この点はともかく、農民工が2億9千万人もいるという点に焦点を当てると、性別は男性が64%、女性は36%、未婚者17%、既婚者80%、死別者3%という。

この大量の農民工、短くても半年以上のあいだ農村や農業現場から離れるわけだから、実質的には離農・半離農に等しくはないだろうか。

農村に残って農業に従事する者が最大でさきほどの1億7千万人、実際は漁業や林業従事者も含まれるので、本当に農業中心の農民は1億7千万人ではなく、1億人2千万人程度と思われる。

農民の2億9千万人は農業から事実上離れているとすると、中国1億2千万ヘクタールの農地は1億2千万人ほどの者が耕している可能性があり、だとすると1人当たりでは1ヘクタールということになる。

農地は二期作とか二毛作とかとして利用されるので、耕地面積は増える。統計によると、中国では1億7千万ヘクタールに達するので、1人当たりでは1.4ヘクタールという勘定になるではないか! 多い!

中国の農業の特徴は「多人地少」、人口が多くして土地は少なし、といわれているが、実態は、農民少なくして農地多し、なのではないかと思うこの頃である。