2021/01/09

中国米の味と今後の変化

  中国で食べるコメの味はお世辞にも、良いとは言えないと思うのは、日本人だけかもしれません。昔の日本米は日本晴れという品種に代表されるように、味より量、少しでも収量の高いコメが優れた品種とされてきました。

 ところがいまや、日本米はブランド勝負、つまりは味勝負の時代になりました。スーパーで売られているコメはほぼブランド米か、有名な優良品種だけとなりました。

 高いのは新潟県の南魚沼産の無洗米コシヒカリ、無洗米北海道産ななつぼし、山形産のつやひめ、岩手産ひとめぼれなどですが、私は新潟県の岩船産コシヒカリも相当なものだと思います。故郷の近くということもあるかもしれませんが、残念ながら、私の生まれ故郷の中条産はあまり有名ではありません。おいしさにかけては岩船産にも負けてはいないのですが。

 では中国のブランド米にはどんなものがあるでしょうか?

 河南省原陽米、吉林舒欄米、黒竜江省五常米、遼寧省柳林貢米、河南省原陽米、その他いくらでもあります。ただし、ブランド米を全国統一的に規格化し、消費者に対する威厳ある組織によるものではなく、かなり勝手で宣伝的な要素が強いブランド化ですので、公平といえるかどうかは疑問です。 

 もう一つ日本とはちがって、中国米独特の留意が必要な点があります。それは、中国ではコメと一口でいっても、ジャポニカ系(主に東北産の日本米と同系統の単粒種)とインディカ系(タイ米など長粒種)があり、それぞれにブランド化されている点です。消費量はほぼ同量ですが、インディカ産は主に中国の南方産です。輸入量が多いのもこの品種です。

 私は長粒種の香りとさらさら感もスキですが、やはり、ご飯といえば単粒種です。かなりおいしい品種、日本のコシヒカリ系の色つやがよく粘り感がありやや甘みのある品種もありますが、末端価格は1キロ12元~13元、一般米の二倍以上はします。

 ところが、味という点になりますと、日本人独特の好みを基準としますと、やはり、まだまだというところです。では、日本人の好みはガラケー並みかというとそうでもなく、日本で食べたコシヒカリの味は、中国人も、やはりおいしいと喜んでくれます。

 おそらく、中国でも日本のコメのような味を求める動きが急速に進むと思われます。ご飯におかずを乗せたりかけたりすると、コメの味はきえてしまいます。余談ですが、日本の丼物、たとえば牛丼、かき揚げ丼など、汁物が混ざった丼物に使われるコメは古米、古古米が多いと聞きます。コメの味よりも肉とか天ぷらとかの味の方が勝ってしまいますから。高級丼物、たとえばうな重などは、コメもおいしいですよね。なぜかというと、うな重とコメは味のハーモニーを奏でますので、片方がまずいと全体が台無しです。

 中国本来の料理に丼物は多分無いと思いますが、店物ですと、最近は日本風の丼飯は大流行です。習慣的に白いご飯の上におかずを乗せて、両方を混ぜながら香りを嗅ぎながら、箸で喉に送り込む食べ方もありますが・・・・・。

 おいしいコメの味嗜好が広がっていくと、コメのブランド化と価格の多層化は一層進み、おいしいコメを作る農家の所得が上がる日本のようになると、頑張った農家にとっては励みになるに違いありません。

 追伸:『無洗米』は日本の発明ですが、読んで字のごとく洗う面倒のないコメのことくらいはご存じでしょうが、その誕生秘話について、いずれお話ししましょう。