2019/06/14

中国におけるネット規制に思う


6月中旬から中国のネット規制がさらに厳しくなりました。中国現地では、すでにネットの検索エンジンが事実上、百度だけに限られるようになっていました。

最初に開けなくなったのがgoogleで、まだヤフーは使えていましたが、突然、二年ほど前から、これも開けなくなってしまいました。GooDuckduckgoは開けるのですが、遅いし、情報数に制約があります。

結局、中国出張の際、頼りになるのは百度しかありませんが、日本語はだめなので、使い勝手はよくありません。

これだけではありません。

百度で開ける情報自体が狭く、社会批判染みたものは見出しが残っているだけで、開こうとしても出てこない場合が増えました。当局が中身を消したのです。日本の年金問題の2000万円赤字事件、これも日本政府はなかったことにしとうとしていますが、政権に都合の悪いことは隠そうとするのは日中共通のようです。

以前はどうかというと環境汚染問題を追及する社会派記者の記事がなんの検閲も設けることなく、そのままネット上を踊ったものです。わたしなども、中国農村の水や土壌の環境問題の現状を、これら記者の記事から学び、それを確かめるべく中国に出かけたものです。最近とくに少なくなった一つに、農村問題についての記事や告発があります。

20111210 日に、広東省の烏坎村という村で、ある事件が起こりました。圧倒的多数の村人が村民大会で選んだ村長(村民委員会主任)を共産党が気に食わないとして無効にしたため、村民自治を無視するものだとして、農民が大衆行動に出たものです。

結局、村民の何人かは違法な集会と暴動を起こしたとの罪で警察に拘束され、村民が選んだ村長までも拘束された事件です。

村民は法律で認められたことをしたまでだ、と主張したのですが認められませんでした。しかし、自分の研究分野の関係から関係法律(村民委員会組織法など)を何度も読んでいますが、その限りでは、村民に非はありません。

それで、いまこの事件のネット上の報じられ方をみると、当時の権力側の正当性を主張する記事が躍っています。

よき中国理解者はよき中国調査者でなければならない、よき中国理解者を増やすには中国における自由な研究と調査の機会を保証すべし、というのがわたしの自戒と願いです。