トランプの対中145%関税に対抗して、中国も対米関税を125%に引き上げたことはご存じのことでしょう。
その効果はさっそく、アメリカ大豆の激減となって、中国に現れ始めています。中国は、毎年、1億トンほどの大豆を輸入してきました。
輸入先はブラジル、アメリカなどで、アメリカの統計(FAS)によると、対中輸出は、2023年に2,640万トン、2024年には2,720万トンでした。
全輸入量の26~27%がアメリカから、ということになりますね。以前は、半分がアメリカでしたが、第一次トランプ政権の誕生による米中経済摩擦から、大きく減った経緯があります。
今回はさらに、大きな輸入減少が起きています!!!
中国海関総署統計の速報値によると、1月から3月までの大豆輸入量は前年同期にくらべてマイナス8%の1,711万トンにとどまったのです。
3月だけをみると、前年同月比でマイナス37%、マイナス350万トンと大きなマイナスを記録しています。
中国の海関総署の速報値は、国別の大豆貿易データがありません。
そこで、アメリカ農務省のFASを見ると、今年1-2月統計がありましたので、紹介しますね。
それによると、バイデン政権時の2024年この時期の対中の大豆輸出量は707万トンでした。ところが、今年は半減、328万トン、マイナス54%に落ち込んでしまっています。
アメリカからの輸入減少分は、なんとか、ブラジル、アルゼンチン、カナダからの輸入でやりくりして、アメリカからの輸入減をカバーしていそうです。
中国の大豆は、豆腐、醤油、大豆油などの原料、豚のエサで欠かせない大豆粕などの用途に供給されます。いまのところ、代替輸入先はなんとかなりそうですが、困っているのはアメリカの大豆農家ではないでしょうか。
日本は、大豆の自給率が10%程度ですので、アメリカ大豆農家とトランプ大統領にとっては、かっこうの穴埋め先と映るかもしれませんが、日本が輸入できるキャパは中国の10%以下、しかも輸入は確保しており、これ以上の受け入れは無理でしょう。
日本にとっては、とんだとばっちりです。
中国の大豆生産者には、国から10アール当たり、6000円程度、省や県によっては、これに数千円を上乗せした補助金を出すなど、国産奨励を進めていますから、国産化がさらに進む可能性もあります。