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2025/07/30

中国、三峡ダムの3倍、世界最大の水力発電ダムを着工

 

719日、中国は三峡ダムの3倍の発電量、年間3千億キロワット時の水力発電ダムの着工式をおこなった。

チベット高原を流れる海抜が世界一高いヤルツァンポ川(中国名・雅魯蔵布江 Yarlung Tsangpo:チベット高原を源流とし、最後はバングラディシュの河口からベンガル湾に注ぐ)の中流域に建設するもので、建設場所はチベット自治区の東の端に位置する。

完成は2030年を目指すとしている。

 世界最大の水力発電ダム、三峡ダムは847億キロワット時、ダムサイトの幅が2.3キロメートルだから、単純にその3倍となると、サイトの幅は7キロメートルとなり400メートルトラックを17.5周もしないとゴールにたどり着けない、恐ろしく巨大なダムとなる予定だ。

                                                         中国がこの巨大ダムを建設する背景として、私は、次があると思う。

40004500メートルと、海抜の高いこの地方一帯の慢性的な水不足への対応。因みに私の場合は4000メートルが限界、このあたりで病院に急行運搬していただいたことがある。持参した3本のおおきな酸素ボンベは、すぐにカラになった。

慢性的な電力不足への対応(中国では、55基の原発が稼働、建設中24基。特に北方においてだが、山岳部では太陽光発電、平野部では風力発電が盛んに稼働しているが、なお不足している)。

③下流に位置するインド、バングラディシュ、とくにインドへの戦略的手段としての水の活用価値が大。

三峡ダムの長さは600キロメートルだから、新しいダムはその3倍、1800キロメートルにも達する可能性がある。完成後の下流地帯は、常に、流量の不足あるいは過剰に、慄く(おののく)ことであろう。

④中国にとっては、一種の巨大な公共投資、1.2兆元(24兆円)の建設費用は、投資乗数を3とすれば3.6兆元(72兆円)の経済効果を生むだろう。政府は、不況であえぐ中国経済の助け舟の一つとして位置づけているはずだ。

 

この巨大ダム建設をめぐっては、さまざまな懸念が指摘されている。ネットでサーチすると、まずはダム下流の位置するインドとバングラディシュからの既述の懸念、これは誰にも理解できよう。

次は環境NGOからの、環境への計り知れない影響発生という懸念だ。巨大なダム建設が、地球の地軸の傾きの変化や自転速度へ影響する、といった地学的なものから、気象への影響や、もしも決壊した場合に予想される途方もない洪水被害の発生不安などだ。

特に最近は中国全土で、降る雨の大きさがハンパでなくなっていることなどから、想定外のことが起こったら、いったい、誰が救ってくれるのか、誰が被害を補償してくれるのか、といった不安の声もあるという。

 地形的なリスクとしては地震の不安がある。この辺りは、中国国土の地層が歪んでいるところにあるからだ。

しかし、これらの不安や懸念に中国は一切耳をふさぎ、リスクをかえりみず、猪突猛進を繰り返す姿勢は、おおきな反発と不安を広げるだけではないのか。