2013/02/08

ルイスの転換点の罠

「ルイスの転換点」をまことしやかに議論する人たちが居るんですね。

中国も工業化が進み、農村から労働力が工業部門に移り、農村には労働力が枯渇する、と同時に、賃金水準が平準化、つまり、工業労賃と農業労賃が一緒の水準になるんだとさ。

もし、それが現実に起きるなら、農民にとって、こんなに歓迎すべきことはない。余剰労働が消え、所得が上がるのだから。

 でも、実際は、市場経済の社会では、絶対にこういうことは起きない。市場経済のもっとも進んだ欧米、あるいは日本でも、こんなことはあり得ないし、現に起きていない。学者という者の中には、暇学問が好きなひとがかならず居るんですね。
陥りやすい「ルイスの転換点の罠」なんでしょう。

欧米、日本の農業部門と工業部門の賃金格差は、けっして中国をとやかく言えるほど小さいわけではないんです。

2013/02/07

専業農民の急減、農外収入依存高まる

中国の専業農民が急減している。年齢構成別にみると、20~30歳代は一ケタ%も農業現場には残っていない。農業をするのは50歳以上となってしまった。そのかげで、大豆も米も小麦も等も鱗氏も輸入増加が止まらない。

こうしたなか、統計的には、農民の所得の源泉構成が大きく変化している。農業所得は伸び悩み、増えるのは出稼ぎ、農外就労、仕送りだ。

ほんとうに皮肉なことだけど、そのためか、農民間の所得格差は少しずつ縮小しているのである。

むしろ、専業農民の経営が苦しい。これは日本も同じこと。コスト計算などに縁がない兼業農民が、市況と無関係に作る農作物が大量に市場に流れ込むために、農民の手取り価格はどんどん下がる。価格決定権はいまや兼業農民にあり、専業農民はたまったものではない。この点も、日本も同じこと。
中国では、このところ、農産物消費者価格が高騰しているが、農民には無縁だ。なぜか?川下の最後の1kmの業者が、その大部分を取っているからである。