2011/12/25

中国経済の天井と深刻な資金余剰

中国経済が、天井に当たり始めたような印象がする。といって、バブルがはじけるとか、成長率が5%台、大幅に下がるとかというわけではない。天井は、文字通り天井だから、いままでのような12,13%といった高い成長はもはや過去のことになりつつあるということだ。たぶん、8~6%という数字に向かって経済の転換が進む可能性がある。
経済学に「限界成長率逓減の法則」という考え方があるが、いまの中国はまさにこれが当てはまりそうな気配がある。中国は構造的な民間資金過剰、政府部門の赤字という構造問題を抱えており、一向に変わらない。
これは、税収システムの問題もあるが、民間部門が国内投資先を持っていないことが根本的な問題だ。投資収益を確保できる安全な投資先が見つけられないというわけだ。では、余剰資金はどこへ行っているのか、その答えは、外国への直接投資と間接投資つまり証券投資である。一部は、資本逃避つまり海外への資金流出だ。
民間のありあまるお金をいかに有効に使うのか、この点が中国のマクロ経済政策の要諦である。

2011/12/20

農民はマンション住民に、しかしここに矛盾も棲む

中国では、農地を収用される代わりに、マンションを与えられることが進行している。一人70㎡、3人家族の場合210㎡となる。そこで、農業をやめてマンションを貸して家賃収入で生活しようとする者が増えている。
農民家主の誕生である。しかし、これがうまくいくとは限らない。借り手がいればいいが、場所が農村なので借り手がそうはいない。そこで、どうなるかといえば、仕事を失ったマンション元農民住民が増加することになる。豪華な摩天楼のなかで、多くの家持無産者が住むという新しい矛盾が棲息することとなる。