2018/10/24

打開策さぐる米中だが・・・・・・・・・・

打開策探る米中だが・・・   アメリカ向けの中国による大豆と豚肉の25%の関税引き上げは、中国自身を苦しめる魔手に変わった。アメリカは高値で買ってくれる中国という上客を失い、6~8月の3か月間で対中輸出が前年比73%減(153万トン減)となったが、その穴を埋めるどころか、数地域向けのみで前年同期を54万トン上回る輸出を確保した。  アメリカの輸出統計によると、アメリカの大豆輸出は南米、インド、東南アジア、中東向けが大幅に伸びた。結局、中国がかけた大豆関税で困ったのは、アメリカではなく中国自身だったことになる。  しかし大豆のシカゴ先物相場は、紛争勃発前の1㎏当り0.347ドルから現在は0.268ドル、23%も低下しており、大豆大国アメリカにとっても局面の転換を図りたいところだろう。    この点は中国も同様だが、自身からこぶしを下ろすことはなくアメリカの出方を待つ姿勢を崩しまい。しかしアメリカの中間選挙、ブエノスアイレスでのG20での首脳会談が予定される11月末以降は大きな山場を迎える。  中間選挙で共和党が負けなければ、事態の打開は先送りとなろうし、負ければ事態の収拾へ動く可能性がある。アメリカの関係業界も我慢の限界といわれているからだ。その結果によっては、FTAなど、米中2国間経済連携協定の模索を始める可能性がある。  その場合、大豆をはじめとして、弱い農業を抱える中国は厳しい交渉を強いられよう。いずれにしても、中国も、いつかは、長年のつけを払わなければ収まるまい。  中国政府筋からは、再び自力更生のはっぱをかけだすほど恐怖におののいている様子が伝わってくる。株価、成長率などの経済指標は、不安材料が膨れ上がりつつある要因となり、これからも、アメリカと対抗していくだけの気力を発揮できるかどうか、注視したい。

2018/10/17

                         先だって中国のスーパーで撮影した大豆油です。大きく「遺伝子組み換えでない」と表示されています。  中国では遺伝子組み換え大豆についての消費者の忌避が広まり、こう表示しないと売れなくなったのです。国営放送のCCTVも、遺伝子組み換え農産物の産地でガンの罹患率が高くいと警鐘を鳴らすような報道番組みを流すようになりました。  CCTVといえば中国政府の宣伝機関ですから、そこが作った番組みが遺伝子組み換え食品の危険性を喧伝し始めたのはおどろきです。  写真の大豆油の「遺伝子組み換えでない」との表示、大きな文字で書いてあります。売り場では、ほとんどの食用油がこのような表示が書いてあります。中国人の消費する食用油に原料は大豆、菜種、ひまわり、ラッカセイですが、どれも同じような表示方法です。  売り場の棚の隅っこに、このような表示がないもの―つまり遺伝子組み換え原料で作った食用油―もありますが、両方とも、価格はほぼ同じです。  栽培コストが違うはずなのに、価格が変わらない。なぜだと思いますか?   実は、両方とも原料は同じ遺伝子組み換え大豆だからでしょう。    実際、このような表示の仕方には疑問を覚えます。何となれば、遺伝子組み換えでないとされる国産大豆、その量は国内消費量の15%もなく、大部分がブラジル、アルゼンチン、アメリカからの輸入組み換え大豆を原料とするからです。アメリカからの大豆輸入は今年の春から減少、輸入関税で高騰したため、8月にはほとんどストップしていますが、ブラジル、アルゼンチンとも名だたる遺伝子組み換え大豆大国との評判の高い国です。  中国消費者の忌避傾向、まずます広がりを見せています。  そこで、注目され出したのがゲノム編集大豆やさまざまな農産物です。中国では、6~7年ほど前から、ゲノム編集農産物の実用化に向けた実験がはじまり、中国農業科学院深圳 農業ゲノム研究所(写真)、中国科学院北京ゲノム研究所などが実用化に向けた多くの農産物や家畜、魚介類の試験研究に取り組んでいます。ゲノム編集食品が中国人の食卓に上る日は、そう遠くではないと見られています。でも安全かどうか、やはり不安は消えないようです。

2018/10/10

中国の農村現地で聞いたはなし   豚コレラが猛威

 先週、中国の河南省で聞いたこと。日本にも発生したが、いま中国ではアフリカ豚コレラが蔓延、あおりを受けてか豚肉の消費者価格が低下している。実際、スーパーの売り場を見ると、等級や産地に関わりなく、値下げして売っている。それでも、観察しているかぎり買っていく消費者はいなかった。    豚コレラは人間には感染しないと言われているが、一般消費者には不安があるらしい。  売れずに困るのは小売店にとどまらず、生産者、中間流通業者と広い。だが、打つ手がないのが現状だ。結果、とくに生産者の経営圧迫は大きく、倒産の危機を我慢で潜り抜けようとする気配があった。  実際、養豚業者に会って話を聞くと、自分の経営も我慢の限界にきているがエサを安くして時間が過ぎ去ることをじっと待っているだけだという。しかも、政府からの資金面でのサポートは皆無なのだという。  いなかの高速道路の方々で、豚の違法輸送移動がないかを検問するゲートが目立つのだった。  今回の調査結果概要は、今後、折に触れて書く予定です。

2018/10/03

中米貿易摩擦の取材、急きょ訪中

 急きょ、中米貿易摩擦の中国における影響の現れ方を取材するため、中国のある地方へ行くことにしました。 今回は朝日新聞のM記者が同行します。これまで、報道された中国でのこの影響、ほとんどが記者の知識不足と勉強不足から、掘り下げ方が弱く素人でさえピンとこないものが多く見受けられました。    今回は、周到な準備のもと資料を調べに調べ、取材相手はピンポイントで絞っています。取材相手は、日本人は警戒され、なかなかほんとのことを言ってくれないことが多いのです。若いころ、鵜呑みにして失敗した経験が身に染みています。  今回は、中国が国慶節で連休中にもかかわらず、取材の協力をしてくれる方がたを探しました。私は、トランプの経済外交は間違いであることはいうまでもなく、かならず失敗すると思います。経済を多少は勉強した者の目からみると、めちゃくちゃな思い込みが、今回の間違いを生みだしたというほかありません。問題は、中国が、これにすっぽりとはまってしまっている点にあります。対抗措置が間違いの上乗りをして、出口を失っているのが問題です。これによって、自国民が大変な被害を被っているのです。  現地の取材概要は、追ってこの欄で紹介しましょう。

2018/10/01

食品由来の薬剤耐性を考える

 ある週刊誌からの取材申し込みがあって、いつものことだけど用件を確かめて、下調べをしてみた。用件は、日本の抗生物質と成長ホルモンのことだけど、答えるまえに、軽く書きたくなった。話の筋は別なところにありそうだから、買いてもいいでしょう。  驚いたことに、日本の薬剤耐性出現率、ペニシリンに関しては世界最悪の40%を超えているんです。簡単にいうと、これがだんだんと効かなくなっているということ。ペニシリンで菌が強くなったのです。ペニシリン以外に、抗生物質はまだたくさんの種類があるが、厚労省はできるだけ使ってほしくなさそうだ。  一方、抗生物質の日本の製造量と輸入量は大きく、年間の売り上げは290憶円の市場。EUでは禁止している抗生物質、日本は、まだ決断できていないのです。昨日から今日にかけて、けっこう大量のデータを調べると、家畜、水産物、加工食品に基準超えが目立つ。統計的にいったら少ないが、宝くじと一緒で、基準超えに当たった人は運が悪いことになる。最近、まち医者へ行っても、風邪くらいでは抗生物質は処方しない。私の行きつけのお医者さんは、注射もしない。なかなか、治りにくい薬をくれるだけだ。しかたない。むしろ売薬に、効くものがある。  抗生物質の侵入経路は、1家畜・魚介類・加工食品、2医薬品。輸入依存の高い日本では、前者は減らないだろう。できそうなことは医薬品を選ぶことだが、そのまえに、健康管理に気をつけることしかない、としみじみ思った次第である。