中国のコメの早生品種の収穫が終わりました。1年間のコメの収穫量全体に占める早生品種の割合は10~13%といったところですが、1年間の収穫量の動向を占う指標ともいえるものです。
中国政府の発表によると、2021年の早生品種の収穫量は2802万トン、これだけで日本の1年間のコメ収穫量の4倍くらいにもなる大変な量です。中国の1年間のコメの収穫量はだいたい2億トン強という大きな量になります。
早生品種を栽培しているところは、主に湖南、江西、貴州、四川など南方です。
コメは小麦、トウモロコシと並んで中国では3大穀物の一つ、収穫量は小麦のだいたい1.5倍です。収穫量自体が最大はトウモロコシの2億6千万トンくらいですが、飼料用・加工用が大部分で、日本のスイートコーンのようなものはまだ少ないので生食用は限られます。
さて、そのコメの早生品種なのですが最近、次のようなことになっています。やや注目されますので取り上げました。
1,最近(2015~)、収穫量が低迷。前年を下回ることも頻繁に。
2、コメの作付面積がはっきりとした減少傾向にある。
3,単位面積当たり収穫量が低迷、減少する傾向がはっきりと確認できる。
けっして需要が減っているわけではありません。むしろ増えており、不足を輸入に頼る傾向がはっきりしてきています。
日本のコメのように需要減少で供給が余って困るなどというゼイタクはむかしからありませんでしたが、一時期、自給体制が出来上がった時期もありましたので、それにくらべると、現在は、かなり窮屈な食糧事情を迎えつつあるといえるでしょう。
こうした傾向はコメに限ったことではありませんが、ここではコメに焦点を当てています。
こんな話を中国の人に向かってすると、かならず返ってくることばに、
「いまの中国は食べものに苦労はない。あなたはどこの国の話しをしているのか?」
というのがあります。
不足分は輸入しているのですから、食べものに苦労している実感があろうはずはありません。この点は、中国よりも食べものの輸入依存が強い日本ですら当てはまる
ことです。
収穫量の低迷は3種穀物全体に見られる現象なのです。中国の食糧(中国語では「糧食」)には3種穀物の他、大豆、高粱、キビ、アワ、小豆などだけでなく薯類が含まれます。日本では薯類は統計的に別扱いです。
こうした食糧事情の変化が起きていることに対して中国政府は、「非糧化」(コメ作農地などを、大豆や野菜などに転作)、「土壌劣化」、「洪水など気象変動」などをその主な理由としています。
これらに加え、私は農地公有制に限界がきているからだとみています。
中国の農地所有者を誰だとお思いでしょうか????
答えは、無しが正解です。私は、中国の憲法をはじめ、土地や農地に関するあらゆる法律、施行令、条例を読破しましたが、土地も農地も、その所有者がだれか、どこにも書いてありません。 なぜでしょう????
それは体制のなかに、巧みな、そして意図的な背景があるからです。
0 件のコメント:
コメントを投稿