共産党と政府が一年間に取り組む重要な施策をまとめ、宣言する文書が中央一号文件です。
「文件」とは、平たく言えば「文書」あるいは「施策説明書」のような意味を持つ、中国独特の言葉です。
毎年、1月末か2月、世間は春節の祝いムードが漂う頃に公表されるのが慣例です。
さて、今年の中央一号文件は2025年2月23日の公表でした。今年も「三農」問題が中心でした。18回党大会以降、13年連続のことです。いかに、中国にとって農業問題が厄介な課題であり続けているかを象徴するもの、と言ってよいのでしょう。
今年のタイトルは『農村改革のさらなる深化と農村の全面的振興の着実な推進に関する意見』です。「農村改革の進化」、「農村振興」はこの10年余り、中国が力を注いできた言葉です。
私から見ると、実際の進展は、非常にのろいというひと言に尽きます。なぜかというと、政策の最大の課題、土地政策にメスを入れていないからです。メス無しで、手術はできません。
この辺りの問題については、私自身、長い間指摘してきており、中国の土地問題の学者のうち、御用学者以外の人も強い関心を持ち、抜本的な改革を主張しています。
私もいま、中国の土地問題に焦点を絞り、著書原稿を執筆中です。
さて、本題の一号文件の内容を簡単に紹介しましょう。
今回は、以下の6つの主要な側面に焦点を当てています。
1,重要農産物の供給保障能力の強化:穀物の播種面積を安定させ、単位面積あたりの収量と品質の向上を図り、穀物の安定生産と豊作を確保する。また、大豆の増産成果を強化し、油糧作物の栽培拡大を支援する。
2. 畜産業の安定的発展の支援:生産能力の監視と調整を行い、肉牛や乳牛産業の困難を解消し、基礎的な生産能力を安定させる。
3. 耕地保護と質の向上の強化:耕地の総量管理を厳格に行い、高標準の農地建設を推進し、耕地の質を向上させる。
4. 農業科学技術の共同の取り組みの推進:種子産業の振興行動を深化させ、生物育種の産業化を推進し、スマート農業の発展を支援。
5. 農業防災・減災能力の強化:気象サービスを強化し、災害リスクの監視と予測を強化し、農地防護林の建設を強化する。
6. 穀物生産支援政策体系の健全化:稲や小麦の最低買入価格政策を実施し、トウモロコシや大豆の生産者補助金政策を改善し、耕地地力保護補助金政策を安定させる。
ただし、すべてが十分に実施されるか、成果が期待できるか、となると疑問もないわけではありません。
というのは、政府財政の余裕がなくなってきており、中央と地方政府の連携なしには、制約が大きいからです。地方財政は赤字構造にありますので、中央が期待するほどの政策ができないことも予想されます。
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