2024/11/28

中国の識者、食糧自給率、65%への低下を初めて認める!!!

中国の識者が、初めて、食糧自給率が60パーセント台であることを認めました。これは、まじめなネットサイトで、中国の経済、社会、政治、文化、海外情報など多彩な情報を発信して、読者に考えさせる狙いを持つサイトで、わたしもよく開くサイトです。

私は中国の総合的な食料自給率を、2021年のデータでは約75パーセントと見ているのですが、これを大きく下回ります。記事の65パーセントと私の75パーセントは、対象品目がちがいますし、計算方法がこまかな点ではちがうところもあると思うのですが、65ペーセントとは、正直いって驚きました。 

自給率の計算対象品目を私の場合、穀物、畜産物(飼料に換算)、食用油(原材料に換算)、青果物、魚介類、砂糖製品(原材料に換算)なのですが、この人は穀物だけだと思います。もし、畜産物を加えると、さらに正確な自給率が算出されると思います。

私の計算方法は、すべての食料を年間の国産量、輸入量に、すべての品目を重量当たりエネルギー含有量に換算した後に、自給率を計算する方法です。

この計算方法では、畜産物、食用油、砂糖製品などの一次産品の製造効率を上げると、それだけで、食料自給率が上昇することが分かります。

中国の食料事情を中央政府や地方政府の統計情報、ネット情報、政府発信情報などを総合して思うことですが、穀物の国産・輸入に変化が起きていることが分かります。また、国産量が操作されている可能性を否定できません。

2024/09/06

今年の早稲は、作付面積は増えるも単収が減っている-その背景とは?

 中国国家統計局が8月下旬に発表したところによると、2024年の早稲(ワセ)生産量は、

2023年を0.6%、163,000トン下回る28,174,000トンという。

 

作付面積は47,548,000ヘクタール、2023年を0.5%、217,000ヘクタール上回った。

 

10アール当たりの生産量は592.5キログラム、2023年を1.0%6.16キログラム下回

ったという。

 

結局、全体の作付面積は増えたものの生産量は減ったということになる。このところ、中

国の早稲生産は、作付面積と単収の2つが同時に減少する動きを続けており、その結果と

して輸入が増える反作用も生まれているのだ。

 

作付面積の減少の理由は2つ。

 

一つは、このところの干ばつ、大雨による異常気象がもたらす農地被災の拡大である。つまりは、そのために作付面積が途中で減少するのである。中国の統計では、作付面積は田植え面積ではなく、実際に農産物を収穫した面積である。

 

早稲の主な生産地帯は南方の湖南、江西、広東、広西自治区などなのだが、最近は、田植

えが終わり、田に根が張り出すちょうどその頃に、大雨や洪水が直撃、多くの稲作農家

の首を締め上げているのだ。

 

二つには、米の作付自体を嫌う農家が増えていると見られること。農家の後継ぎが減り、高齢化が進み、体力と費用のかかるコメ作り農家が減っているのだ。

 

私はこれまで、何十年間も、中国の方々で遭った農家に「息子に農業を継がせる気があるか?」と尋ねてきた。これは、日本の全国の農家を回っていた時と同じ質問だった。しかし例外なく、中国農民の答えは「継がせない」で一致していた(日本でもほぼ同じ)。

 

自分の苦労を、率先して子供にも継がせたいと願う親はいない。もうだれも、意に反することを強制できる者や集団の圧力は、中国にも存在しなくなったのだ。

 

作付面積が減少しただけでなく、単収も減っているのだがその理由も二つ。

 

一つはやはり異常気象と水田土壌の劣化。異常気象は今後も続くだろうが、一層、深刻なのは、農薬と化学肥料ですっかり変わってしまった水田土壌の改良が、遅々として進まないことだ。各地の水田を歩き、必ずや田の中の土や泥を握って観てきた。

 

水田土壌は、極端なはなしだが、まるで植物工場の水耕栽培かスポンジ栽培かと思えるくらい殺伐としている。これでは単収は減る一方だろう。

 

二つには、それでもなお作付面積を多く見積もり過ぎの可能性である。実際の作付面積は、政府の見立てよりも、実際は更に少ない可能性がある。

 

各地で起きている現象だが、コメを作るといいながら、水田をもっとカネになる野菜栽培やビニール温室、さらには禁止されている商業用地に変える問題も起きている。農地を住宅地に変えるなどの「大棚房」として、大きな問題にもなっている。

 

こうなると、統計上の作付面積を実際の面積が下回り、こんなはずじゃなったということになりかねない。

 

2024/07/23

丁戊奇荒から学ぶ

世界の気象体質は明らかに変わったという。体質の変化が確かめられた、その後に確実にやってくるのは、その体質を隠すことなく表現する気象現象であろう。この気象現象は、すでに世界各地で猛威を振るい始めていることは先刻ご承知の通りである。

その影響は人間の生産活動や日常活動にも深刻なダメージをもたらし始め、やれ真夏日だ、やれ熱中症だのとテレビは騒ぎ、海の向こうでは気温が40度を超えたという一方では洪水だ、干ばつだとの、真逆の気象現象が、世界同時に起きているニュースが続く。

これが太古のむかしのことであれば、権力を持つ祭司たる役目にある支配者が臣民の先頭に立って神に向かい、起きている恐怖を抑えてくれよと乞い叫ぶことであろう、などと想像してしまう。

私は、一農業学者の立場から、中国におけるこれらの現象を農業と結びつけて長らく観察してきたが、昨今の異常気象は、異常という表現がぴったりするほどである。

言うまでもないことかも知れないが、政府の公式の農業統計は、嵐などない凪だけの海面が延々と続く大海原のごとくである。ときに起こる波もいつのまにか、左官がコテをもって壁に塗ったモルタルを均すかのように、過去に立ち戻って平にしてしまう神業をほどこす。

この方面のニュースを流す中国のネットの書き方が変わり出したのは、ここ2,3年、とくに1,2年のことのように思う。

たとえば、干ばつ。中国の農業史はウラを返せば干ばつ史の様相を呈する。長い中国史のステージから見れば最近の出来事に属する大飢饉の丁戊奇荒は、その典型的な災難の一大事であった。

日本にも起きた飢饉、たとえば天明の大飢饉では樹食や人食は日常のことであったようだが、その規模のけた違いの大きな災難がこの飢饉である。このような飢饉は、日本でも中国でも、二度と起きて欲しくはない。

中国の甘粛省の省都蘭州の真ん中を流れる黄河には、巨大な水車がいまも残る。黄河から離れ、やや沙漠気味の大地を歩くと、干上がった元河川の低い堤防跡と川底だったことを想像させるところに、水の流れに任せて自然に整ったかのように並ぶ砂利の列が見える。河川の消滅は、中国の各地で起きてきたことだ。

農業の欠点は、干ばつと洪水にからきし弱いことだ。広く起伏の激しい中国農業大地、異常気象は始まったばかり、私のその観察は今日も、明日も続きます。






2024/06/24

"超異常気象が中国農業を襲う!

 

 

ここ数年、中国を異常気象が襲うようになっている。しかも、ますます過激になっている

のだ。それを指して、ここでは暫定的に「超異常気象」と言う。まだ、「超常」といえる

ほどではないので、やや控えめな表現にとどめたつもりである。

 

国土を南北に分ける境界を揚子江とすると、北へ行くほど干ばつ、南へ行くほど洪水と、

両極端の気象が続いている。添付した画像は、2024624日の中国国土の衛星写真だ。

 

やや見えにくいが、画像の下部は中国南部。厚い雲で覆われて国境線も見えにくい。上部は茶色の土が丸見えで、乾燥している様子が手に取るようにわかる。そのやや上部は東北地方の一部だが、やや雲がかかっている。しかし、この地方、今年も干ばつの恐れがあると、政府自身が伝えている。

 

最近の南部は洪水がつづき、桂林上流の桂林江付近では堤防をこえて氾濫し、史上最大の洪水になったという。なんと、同江の水位は一時146メートルにも達したらしい。62018時時点の桂江全域で、警戒水位を超えたという(水利部、6.20)。

 

また、広西自治区を流れる西江でも洪水が発生、河川は警戒水位を約6メートル上回る24メートルに達したらしい(中国水利部、2024.6.21)。

 

広西自治区や近くの広東省は米、サトウキビ、豆類、露地野菜、果物の産地である。洪水が起きても、中国政府は農産物の被害状況を報道することはない。洪水の映像も街中の様子を放映するだけで、農産物や農村の様子を伝えることはまれにしかない。

 

だから、農産物の被害状況を具体的に知ることはほぼ不可能である。

 

一方、北部は相変わらず水不足でカラカラだ。雨は降るには降るが、人工降雨依存、満足できる状態ではない。

 

そこで始めた取り組みが節水品種と節水農業の普及だ。ソルガムやキビなど畜産物の飼料や一部は食用加工品にまわす雑穀だが、干ばつ耐性品種を植えると10アール当たり90立方メートルの水が節約できる。

 

あるところでは、冬小麦の作付けを休耕、その結果節約できた地下水をトウモロコシ、油脂作物、雑穀などの栽培に振り向け、地下水を90%節約できたという。少雨の影響は地下水の減少を招き、穀物の減反も引き起こすから深刻だ。

(衛星画像:中国気象局)


2024/03/19

中国農民の顔の表情

中国へ行きたい最も大きな理由は、むらむらのあぜ道や広い見晴らしの真っ平らな畑の側の道端をあるきたいがためである。

何があるわけでもないし、特別の違いがあるわけでもない。新潟のコメ作地帯の集落で生まれた身にとって、どこであっても、農村の光景は何処と無しに、故郷の香がする。

中国の農村はなお発展途上にあることも事実である。筆者の眼から、日本の農村との最大の違いは、区画整理が済んでいない田んぼがなお目立つこと、用排水路が未整備なこと、灌漑施設が不十分なためか、排水が十分でないことなどは、改善の余地があると映る。

都市近郊、たとえば河北省の都市近郊には中型のトラクターに乗った農民の姿を多く見かけるが、たとえば江西省の水田は区画整理が遅れ、しかも専業農家が限られるせいか、トラクターで作業中の農民を見かける機会も限られた。農業は日本の委託経営のようにひと任せだ。

しかし、どこの農民も、よく似た環境にあることを痛感する。素朴な顔をしていることも共通する気がする。土着的な風情が漂う。だから好きだ。

都市住民は、やはりどこの国だろうと似ている。顔は青白く、無症状で、どことなくカリカリしている風情だ。心の底に、一人ひとりがだれかの、何かの、代表のような自分を探しているからだろうか・・・・・・。

その点、何をも代表しない自分がそのまま顔に出ている素直さが農民にはある。







2024/02/27

畜産物輸入を抑えるため、米と小麦の生産量を下げ、輸入を増やし、トウモロコシの生産を増やす中国

 中国政府は昨年末から今年の初めに、2023年の食糧生産の実績をかなりこまかく発表しました。

まず発表どおりの内容をかいつまんでお知らせします。

作付面積:1億1900万5000ヘクタール

収穫量:6億9541万トン

収穫量の増加率:1.3%


1ヘクタール当たり収穫量:5.843トン(10アール当たり584.3キログラム)


収穫増加量(2022年比):888万トン

作付増加面積(同)    :636,432ヘクタール


1ヘクタール当たり収穫量:13.95トン(10アール当たり1395キログラム)


これが事実であれば、なんと!!!、新しく増えた作付面積についての新しく増えた収穫量(増加土地生産性)(1395kg/10アール)は、従来の作付け面積全体の収穫量(土地生産性)(584.3kg/10アール)の2.38倍!ということになります。常識では考えられないことです。


新しく増えた作付面積についての収穫量の増え方が従来の増え方と同じとすると、収穫量の増加は888万トンではなくて、約372万トン(5.843×636,432)のはずでしょう。

もし収穫量の増加が372万トンにとどまるとしたら、2023年の収穫量の増加率は1.3%ではなく自動的に、0.55%に下がることになります。


中国の4大穀物の収穫量の前年比は、米:マイナス0.9%、小麦:マイナス0.8%、トウモロコシ:プラス4.2%、大豆:プラス2.8%でした。

収穫量が最大の穀物はトウモロコシ、近年、増え方も大きくなっています。その理由は簡単です。飼料として需要が高まるトウモロコシの収穫量を増やすことは、需要が増える畜産物の輸入を抑え、国内生産を増やすことができるからです。


米と小麦の収穫量をトウモロコシに回した、ということですね。

国家経営的な目から見ると、価格の高い畜産物の輸入を、それにくらべて価格の安いコメと小麦の輸入に代えた方が得、ということでしょう。トウモロコシの価格は?、米や小麦よりさらに安いのです。なので、中国はトウモロコシの輸入量もけっこうなものです。

ますますおいしい畜産物の消費が増えるはずですので、中国の今後は、畜産物を軸として米、小麦、トウモロコシ、大豆が作付け・貿易の調整が行われていくでしょう。というのは、もう国内には適当な農地資源がありません。農民が増えることもありません。10年先の中国農村は日本の10年前の農村を鏡で写すと分かりやすいかもしれません。









2024/01/11

中国農村調査は継続困難か?

農村が好きな私は日本の47都道府県の農村(そのすべての農村ではないけど)に足を運び、中国では、チベット自治区・海南省・ウイグル自治区・貴州省・広西自治区を除く省・自治区の農村調査をしてきました。

農村調査というのは、農家+農地。家畜を見て初めて、面白さが伝わってくるものです。農村と農家がとても好きなのです。北京も上海も天津も杭州も何度も行きましたが、どの都市も、私には何の興味も魅力もありません。

新潟県の北蒲原郡の稲作農村で生まれた私は、イネのにおいが染みついているのだと思います。

中国で最も多く行った農村は寧夏回族自治区・河南省・山東省・河北省・山西省かな。。。。。。内モンゴルも多い方です。

最もきれいな農村はなんといっても、羊とバクが群れを成す青海省の高原、標高4000メートルを超えるところでした。私は4500メートルを超えると呼吸困難になる性質で、平地まで運ばれて入院した苦い経験がありますけど。

訪れた農村はどこも印象的で、新しい発見をさせてくれる宝庫です。

新型コロナが流行り出した2019年12月を最後に、私の中国農村のたびは途切れたままです。そろそろ、と思ってはいたのですが、あまり気力がわいてきません。

最近の中国政府が外国人に現地研究に蓋をする動きがかなり鮮明になってきたことも一因です。その気配は以前からあったのですが、昨今の農村には外国人監視の目が張られるようになり、調査内容によっては無許可の機密情報の取得者扱いをされないとも限りません。

農村地帯のあぜ道を1人でぶらつくことが好きな私にとって、窮屈そのものです。歩きながら、畑の土をにぎり臭いを嗅ぎ、観るのが趣味です。どんな肥料を使い、どのくらい耕しているか、大体分かることも理由です。

中国農村調査仲間のあいだにも不安が広がりつつありますね。中国農村調査のベテラン、友人のO氏のように「もう、中国は行かない」と宣言した人もいるほどです。

さて、どうするか・・・・・・・、と思いながら、40年ぶりの台湾の農村へ行きたくなりました。南の八田與一が建築に協力した灌漑施設も見てみたい、とも思っています。