このコラムは、中国の農業気象を追いかけていますが、近年の中国には異常気象と思える現象が日常化しているようです。
今回は、そんな中国の驚くべきかどうかは分かりませんが異常気象について、中国の気象局が出している情報を参考にしながらお伝えします。
日本でも同じような異常気象が起きていますが、地球規模の現象の一環なのでしょうね。
2025年7月の災害、経済損失は半年分に匹敵
中国では2025年7月、洪水や地質災害が相次ぎ、延べ586万5千人が被災し、293人が死亡または行方不明となったそうです。住宅の被害は1万7,500棟の倒壊、11万5,100棟の損壊に及び、農作物の被害面積はなんと91万1,200ヘクタールに達しました。直接的な経済損失は445億元に上り、わずか1か月で上半期全体の被害に迫る規模となりました。
2025年上半期は、干ばつが深刻
2025年1~6月に発生した各種自然災害では、延べ2,503万7千人が被災し、307人が死亡または行方不明となりました。被災者数は前年同期(3,238万1千人)から約734万人減少しましたが、依然として大きな規模でした。
住宅被害は倒壊が2万9,600棟、損壊が34万7,200棟で、前年同期の倒壊2万3千棟、損壊27万9千棟を上回ったといからこわいことです。
農作物の被害面積は218万2,900ヘクタールで、前年同期の317万2,100ヘクタールからは減少しました。直接的な経済損失も541億1千万元と、前年同期の931億6千万元に比べて約4割減少しましたが、昨年の被害がいかに大きかったかを物語るものです。
一方で、干ばつ災害の影響は深刻でした。延べ1,083万6千人が被災し、116万人が生活救助を必要としました。農作物は99万2,700ヘクタールが被害を受け、さらに家畜約320万頭(羽)が飲み水不足に直面しました。経済損失は43億7千万元に上りました。
7月の洪水等災害で年間被害は拡大の見込み
2025年上半期は、被災者数や経済損失が前年同期より減少していましたが、7月の大規模な洪水・地質災害(地すべり、地震、鉄砲水など)が状況を大きく変えています。
死亡・行方不明者は1か月で293人にも達し、上半期の総数に匹敵しました。経済損失も445億元に上り、半年分の被害額に迫りました。7月の災害は、非常に大きかったということでしょう。
このため、2025年通年の自然災害による被害は、前年を上回る可能性が高いとみられています。特に農作物被害の拡大や農村地域での生活基盤の損壊が懸念されており、政府あげての復旧と支援の加速が望まれます。
今年の大雨前線は南北型
これまでの、天気は、ともかく雨が多い年となっています。下の降雨図は8月23日に、中国気象局が発表したものです。
この図では、南北に降雨帯がやや斜めの形で伸びています。この図では、いくらか降雨も治まっているように見えますが、いつもですと、もっと濃い茶色の降雨帯が南北を走っています。これから、中国では米、トウモロコシ、小麦の収穫が増えますが、影響が懸念されています。
この地図に引いた赤い線は、中国を地理的に南北に分ける「秦嶺–淮河線」です。降雨帯は、これを縦断するように伸びています。つまり、いま中国を襲っている異常降雨は、中国全土を左右に分断するように、なっている。それだけ、農業への影響の懸念が大きいということなのです。